経営者であれば誰でも売上をあげようと考えるでしょう。会社の経営者であっても、フリーランスであっても、飲食店の店主であっても。
ところがこの本の著者は違いました。売上を減らそうと考えたのです。
正確にいえば売上を減らすというよりは、売上を限定することで成功しているというべきでしょうか。
著者は中村朱美氏で、京都にあるステーキ丼のお店「佰食屋」の経営者です。
でも「売上を、減らそう」というのは、なかなかインパクトのあるタイトルですね。私もタイトルに惹かれて購入してしまいました。
- 佰食屋とは?
- 佰食屋のメニューは3種類
- 飲食店に必ず必要なものが佰食屋にはない
- 飲食点の経営の指標であるFLコストは80%
- 「売上を、減らそう」は誰にお薦めの本なのか
- ぜいたくかもしれないけど、唯一気になる点は
- まとめ ー 売上に対する考え方
- 追記 佰食屋さんでステーキ丼を実食してきました!
佰食屋とは?
佰食屋さんは京都の西院にある国産牛ステーキ丼のお店です。
お店の広さは10坪で、席は14席です。ランチ営業のみのお店で、百人分しか提供がありません。百人分売り切ったら、その日の営業は終了です。
14席ということは、お客さんが7回転すれば売り切れる計算になります。本によると営業時間は、11時から14時30分までです。11時から30分ごとにお客さんが入れ替わったとすると・・・
- 11時
- 11時30分
- 12時
- 12時30分
- 13時
- 13時30分
- 14時
ちょうど7回の機会があるので、14席 x 7回 = 98人分 という計算になります。これにテイクアウトも含めれば、各回で満席にならなくても、100人分に到達する計算になりますね。
佰食屋のメニューは3種類
佰食屋さんのメニューは3種類しかありません。
- ステーキ丼
- おろしポン酢ステーキ定食
- ハンバーグ定食
上記の3種類だけです。味噌汁やミニサラダなどのサイドメニューはありますが、他のメニューはありません。
私は料理の専門家ではありませんが、ステーキ丼とおろしポン酢ステーキ定食は同じ食材が使えるでしょう。ハンバーグはステーキ用にカットした肉の破片を、ミンチにすることで用意できそうです。
つまり佰食屋さんはメニューを3種類に絞ることで、効率よく経営しているのでしょうね。
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飲食店に必ず必要なものが佰食屋にはない
このことは本にも書かれています。メニューを限定し、提供数を百人分に限定することで、フードロスをなくしているのです。
そのため佰食屋に冷凍庫がありません。普通の飲食店には絶対あるはずの冷凍庫が、佰食屋さんにはないそうです。
しかも佰食屋さんの原価率は約50%だそうです。飲食店の一般的な原価率は30%だと聞いたことがあるので、この50%という数字はすごいですね。
原価率が50%もあるのに冷凍庫がないということは、食材のロスを出さない自信があるのでしょう。メニューを限定し、提供数が決まっていることで、それが実現できているのでしょうね。
飲食点の経営の指標であるFLコストは80%
飲食店の経営の指標のひとつにFLコストというものがあるそうです。
- F Food フード。食材。原材料費のこと
- L Lavor レイバー。労働者。人件費のこと
この2つを合わせてFLコストと呼ぶそうです。私自身はこの本を読んで、初めてそういう指標があることを知りました(^^;
一般的にはこの指標は50%前後だそうです。ところが佰食屋さんは80%だとか。普通であれば倒産してもおかしくない数字です。そもそもFである食材の原価率で50%なのですから、合計のFLコストが80%を超えてもおかしくないですね。
なぜFLコストが80%でも佰食屋さんが営業できているのか、その秘密もこの本には書いてあります。ただ、すべてをブログで書いてしまうのもアレなので、ここでは控えておくことにします。
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「売上を、減らそう」は誰にお薦めの本なのか
飲食店の経営者の方、もしくは将来的に飲食店の開業を考えている方にお薦めの本であることは間違いありません。
それ以外にフリーランスの方にもお薦めの本だと思います。
サラリーマンであれば、毎月決まった給料なので、自分の収入が前後することはほとんどないでしょう。ところがフリーランスは違います。毎月売上が変わり、自分の収入もそれに左右されます。
フリーランスの収入はサラリーマンの3倍、という言葉を聞いたことがあります。3倍が正しいのかどうかはともかく、退職金やボーナスがないこと、仕事に必要な資料や機材を自分で購入しないといけないので、サラリーマンよりも多くの収入が必要なのは当然ですね。
でも、できるだけ多くの収入のために売上を増やそう、と考えると、それは長時間労働に繋がります。でも、考え方を変えれば、売上を限定すれば時間に余裕ができます。
お金持ちより時間持ちに重点をおいたフリーランスというのも良いですよね。
ぜいたくかもしれないけど、唯一気になる点は
本を読み終えて、特に不満や批判すべき点はありません。
ものすごくぜいたくかもしれないけど、唯一気になることは「働かないといけない」ことです。
・・・すみません。私がナマケモノで(^^;
もう少し説明すると、フロー所得とストック所得についてです。フロービジネスとストックビジネスと言い換えても良いですね。
要は飲食店での労働そのものがフロービジネスになるので、何かしらストックビジネスのような働き方はないのかが少し気になりました。
まとめ ー 売上に対する考え方
この本を一言でいうと、売上に関する考え方を変えられる本、と言っていいでしょう。実行するかどうかは別として「あ、こんなやり方もあるんだ」と感心させられることは間違いありません。
佰食屋さんは西院の本店も含めて4店舗を経営しています。そして4店舗目は「佰食屋1/2」という名前で、100食分ですらなく50食を販売すれば営業終了だそうです。
売上をさらに限定していますが、それでも利益が出て、しかも労働時間は短く、幸せに働くことができるお店だそうです。しかもこの働き方をフランチャイズとして展開する計画もあるようです。
あ、このフランチャイズが佰食屋さんにとってのストックビジネスになるのかもしれませんね。
それはさておき。
佰食屋にとにかく行ってみたい!、と思います。私自身は大阪なので、ぜひとも機会を作って、京都までステーキ丼を食べに行ってみることにします。
そう思いつつ、今回はこの辺で。
追記 佰食屋さんでステーキ丼を実食してきました!
仕事で西院に行く用事があったので、佰食屋さんでステーキ丼を食べてきました!
「佰食屋」訪問記。京都の西院で国産牛のステーキ丼を食べてきました!
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