フリーランスの月収はいくらが適正なのでしょうか。難しい問題ですね。以前、何かの記事で「フリーランスは保証がないので、サラリーマンの3倍が適正」という内容の文章を見かけたことがあります。
保証がないのは確かですが、だからといってサラリーマンの3倍もの金額が手に入れられるかどうかは別の問題です。仕事を出す企業が、その金額を払うのかどうか限らないので。
私はフリーランスの方に仕事を依頼したことも、自分がフリーランスの立場で仕事を受けたこともあります(というか、会社を辞めた今がその状態です)。
今回はフリーランスの月収について、3つの視点から考えてみます。
生涯年収からの適正な月収は?
まずはサラリーマンと比較して考えてみます。単純に月収の比較では正しくありません。サラリーマンにはフリーランスにはない収入が2つあります。
- 賞与(ボーナス)
- 退職金
これらを含む形で収入を考えるとなると、月収ではなく生涯年収から考えるのが良いでしょう。
東洋経済オンラインによると、サラリーマンの生涯年収は2億1803万円だそうです。
生涯給料「全国トップ500社」ランキング | 賃金・生涯給料ランキング | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
次に22歳から60歳まで40年間働く場合の労働時間を考えてみます。
- 60歳 – 22歳 = 38年間
- 38年間 × 12月 = 456月
- 2億1803万円 ÷ 456月 ≒ 478,136円
生涯年収から月収を割り出した場合、47万8千円になりました。ただしこれだけでは不足していますね。サラリーマンの場合は、働く場所や仕事で使用するパソコンなどは会社から支給されていますが、フリーランスはそれらを自分で買い揃える必要があります。
いわゆる経費ですね。では経費はどれくらいが適正なのでしょうか。IT業界の経費は収入にも左右されますが、50%前後になるといわれています。
- 47万8千円 × 1.5倍 = 71万7千円
さて非常に大雑把な計算ですが、サラリーマンと同じ月収という観点で考えると、71万7千円がフリーランスの適正な月収ということになります。
発注する会社の人月単価は?
今度はフリーランスではなく、発注する会社の視点から考えてみます。ゲーム開発会社が仕事を受託するときの人月単価は、大きく幅を取ると50万~100万円くらいです。
一般的には70万前後ではないでしょうか。この人月単価は東京だと少し高くなり、地方にいくと安くなります。
仮に70万円とした場合、開発会社は70万円で外に発注することはありません。1人月分の仕事をフリーランスに依頼するにしても、必ずコミュニケーションコストが発生するからです。
そしてもうひとつ理由があります。開発会社でも小規模な会社は50万-60万くらいで受託するところもあるのです。
過去に私がフリーランスの方と話していたときに、人月単価は60万円欲しい、と仰った方がおられました。その考え方は間違っては居ないのですが、残念ながら依頼することはありませんでした。
その理由は人月60万円であれば、会社に発注するからです。
派遣社員の時給から逆算
次に派遣社員の時給から逆算してみます。派遣社員を選んだのは、実際に企業がよく利用しているからですね。
フリーランスは仕事を受けることができなければ話になりません。企業が派遣社員に実際に支払っている金額であれば、フリーランスが仕事を受けるときの月額金額として、適正と考えることができるでしょう。
IT系の派遣社員の時給は1,500円から1,800円くらいですが、ここは厚労省のデータで計算してみます。
- 常用型派遣 1,670円(厚労省調べ)
この時給は派遣社員が手にする時給です。実際には派遣会社のマージンがあるので、企業が払う金額とは異なります。派遣会社のマージンは3割が一般的です。
- 0.7X = 1,670円
- X ≒ 2,386円
企業としては2,386円を派遣会社に時給として支払っています。これを月額に直します。
- 2,386円 × 8時間 = 19,088円
- 19,088円 × 20日間 = 381,760円
企業が派遣社員に支払っている月額金額は38万円ちょっとになりました。
派遣社員=フリーランスとはもちろん一概には言えないのですが、企業が支払う金額として月額38万円というのは妥当な金額だと思います。
ちなみに私が所属していた会社では、フリーランスに月額で仕事を依頼するときは30万円から40万円くらいが相場でした。
まとめ ー フリーランスは足りない月収をどう補うか?
フリーランスの月収についてまとめると、
- 理想 70万
- 現実 40万
ということになります。70万は難しくとも60万円くらいは、と考えたくなりますが、60万だとフリーランスではなく、会社に発注するでしょう。現実的には企業が派遣社員に支払っている金額がフリーランスの月収に近いといえるでしょう。
とはいえ、退職金やボーナスのないフリーランスにとっては、40万円という金額は決して高くありません。その部分をどうやって埋めていくのかは難しい問題です。私自身もまだ答えが出ていません。
もし、フリーランスの方で良い方法をご存知の方はぜひ教えてください^^
コメント