今に至るまでに2D対戦格闘ゲームの礎を築いたのは、カプコンさんのストリートファイター2(以下、スト2)だと考えています。そしてストリートファイターシリーズは、今でも私の大好きなゲームのひとつです。
スト2が全盛期だったとき、私はまだゲーム業界とは関係のない業界のデザイナーでした。でも、その頃からゲームが大好きで、週末になればゲームセンターに足を運び、ひたすらスト2で対戦を繰り返していました。
(出典 カプコン。画像はULTRA STREET FIGHTER II)
大阪で有名なゲームセンター「シャトーEX」
当時、よく出入りしていたのは、大阪の京橋駅にある「シャトーEX」というゲームセンターでした。大阪では有名なゲームセンターなので、ご存知の方も多いと思います。
ゲームセンターはご存知なくても、
きょーばしは、ええとこだっせ、グランシャトォーが、おまっせ。
というCMで有名なビルにあるゲームセンター、というと分かるかもしれませんw
このCMはかなり有名で、
かんさいーでんきほーあんきょーかい。
と並んで、大阪人であれば必ず歌えるCMと言っても過言ではありません。
すみません。少し話がずれました(^^;
スト2がリリースされた当初は、対戦台はまだ向かい合って座るタイプではなく、隣同士に座って戦う形式でした。対戦台が広まったのもスト2の後期で、リリースされた当初は対戦台自体が少なかったと思います。
シャトーEXでも、スト2の対戦台は最初は隣り合って座る一台だけだったと記憶しています。
シャトーEXでヤの付く職業の方が・・・
いつものように週末のシャトーEXで、スト2の対戦台に向かうと、台の周りに黒山の人だかりができていました。
当時からスト2は人気があったのですが、異常なくらい人が集まっているので、どうしたのだろう、と不思議に思いながらも対戦台に近寄ってみると、対戦台の横に1人の人物が立っています。
その人は明らかに普通の人ではありませんでした。がっちりした体格で派手めの背広を羽織り、島木譲二さんをさらに強面にしたような風貌でした。
もちろん島木譲二さん本人ではありません。
ヤの付く職業の方のようでした。
ただ、ヤクザの方が対戦台の近くに居るからといって、人だかりができる理由がわかりません。ひょっとして対戦するのかな、と思いつつもしばらく見ていると、ようやく人だかりの理由がわかりました。
なんと、ヤクザの方が対戦費用を出していたのです。
ヤクザの方が対戦するプレイヤーを応援していた
負けた人がヤクザの人の近くに行くと、
おっしゃ!次は頑張れ
気合入れていけよ
とかいいつつ、負けた人に100円を渡しているのです。
100円を受け取ったプレイヤーは、対戦台の行列に並び直します。そしてまた新しい対戦で、負けた人がヤクザの方から100円を受け取る、という感じでした。
ヤクザの方はスト2の対戦がおもしろいらしく、
兄ちゃん、もうちょいやったのう
あー、惜しかったなあ。次はがんばりや
などと、時々、声をかけつつ、心底プレイヤー同士の対戦を楽しんでいるようでした。
お金を出すことについては全く気にしていないらしく、小銭がなくなるたびに近くの両替機で崩しては、負けたプレイヤーに100円を渡していました。
もちろん私も参加しました!
そしてもちろん・・・・私も何度も並んでスト2の対戦を楽しみました。
最初はちょっと怖いなあと思ったのですが、しばらく見ているとヤクザの方が純粋にスト2の対戦を楽しんでいるのがわかったので、怖さはすぐになくなりました。そして何より無料でプレイできるというのが、当時の私には魅力でした。
スト2が無料で遊べるので、普段は遊ばないプレイヤーも対戦に参加しているようでした。みんな喜んで対戦して、負けるとヤクザの方から100円を受け取り、再び列に並ぶという一連の流れを繰り返していました。
ヤクザの方とプレイヤーの交流?は、1-2時間は続いたと思います。
しばらくして、どこからともなく現れた舎弟っぽい方がヤクザの方に話かけました。
「兄貴、そろそろ・・・」
「お、そうか。もう、そんな時間か」
というやりとりのあと。
ほな。兄ちゃんたち、がんばれよ
と、さわやかな笑顔を残して去っていきました。
周りにいたプレイヤーは、何か夢が覚めたかのような感じでした。人だかりも少しずつ減っていき、いつものように対戦好きのメンバーだけが残りました。
今でも忘れられないスト2の思い出話でした。
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