GoogleのStadiaが普及するかはどうかは4つの要素で決まる

ゲーム開発

アメリカのサンフランシスコで開催されているゲームデベロッパーカンファレンス(ゲーム開発者向けの会議、以下、GDC)で、Googleがゲームのストリーミングサービスを発表しました。

 

Stadia」という名称で、ゲーム機本体を買わなくてもゲームをプレイすることができます。

 

サーバー側で多くの処理を行うことで、4K HDRの60フレームのゲームを専用機なしで遊ぶことができるのです。

 

Googleがリリースするだけにプラットフォームも幅広く、

  • Chromeブラウザが動くPC
  • Chromecastが使用できるTV
  • Aondroidスマートフォン

などでプレイすることができます。

 

GDCでのStadiaの発表を受けて、ソニーや任天堂の株価が下がるほどの影響がありました。高価なゲーム専用機なしで、高解像度のグラフィックのゲームがプレイできるのなら、ゲーム業界が塗り替わってしまう可能性あります。

 

Stadiaのコントローラー

(出典 Stadia Webサイト)

業界の端っこに居る人間として、このStadiaというサービスが普及するかどうかを、独断と偏見で記事にしてみます。

 

Stadiaの値段は? 月額制なのか買い切りなのか

一番気になるのは価格です。価格についてはまったく発表がありません。月額制なのか、それともゲームごとに買い切りなのかも、今のところまったく分かりません。

 

もしこれがアマゾンプライムのように、年間3,900円で利用し放題!、ならプラットフォームとして確実にブレイクするでしょう。年間3,900円、月額にすると数百円であれば(プレイできるゲームの数にもよりますが)、Stadiaを利用する価値は大いにあると思います。

 

これがゲームごとの買い切り制だと微妙になってきます。

それはユーザーの満足度です。

 

Stadiaというプラットフォームが普及するにしても、ゲーム専用機も平行して存在し続けるでしょう。そのときにパッケージのないストリーム版を買う人がどれくらいいるのかが疑問です。

 

パッケージ版とダウンロード版では圧倒的にパッケージ版の方が多く売れます。もしStadia版とゲーム機のパッケージ版が同じ価格なら、前者を買う人はどれくらい出てくるのかが焦点になるでしょう。

 

プラットフォームとしての絶対数が必要

Stadiaの大きなプラットフォームはPC、スマートテレビ、スマートフォンの3つです。もうこの3つについて、それぞれ順番に考えてみます。

 

PCだとストリームの必要があるか?

PCではChromeブラウザがあれば、Stadiaをプレイできるようです。Chromeブラウザのシェアは6割を超えており、プラットフォームとして有望といえるでしょう。

 

ただPCというデバイスは必ず何らかの記憶媒体を持っています。Stadiaはストリームサービスなので、通信環境によってはレイテンシー(通信などによる遅延)が発生することが考えられます。

 

PCであればHDDかSSDが搭載されているので、そこにダウンロードした方が高速かつ安定して遊べます。

 

海外ならともかく、日本でPCでゲームを遊ぶユーザーはヘビーユーザーです。そのヘビーユーザーがストリームとダウンロードのどちらを選ぶかは、自明のことだと思います。

 

スマートテレビは戦国時代

スマートテレビではAndroidOSが搭載されたテレビか、Chromecastというデバイスを追加することでStadiaで遊ぶことができます。

 

ただスマートテレビは、Windowsのようなシェアの大きいプラットフォームはまだありません。AndroidOS以外にもTizenやWebOS、Rokuなど複数のOSが存在しています。

 

今のゲーム専用機の主戦場はリビングです。言い換えればテレビに繋ぐ場所がゲーム専用機の居場所です。そこにStadiaが取って替わるためには、テレビという媒体を押さえる必要があります。

 

Chromecastという別売りのデバイスを買えば、ほとんどのTVでStadiaがプレイできるようになります。ただ現状で1万円弱するので、デバイスとして普及するかは疑問です。

 

スマートフォン iOSの対応は?

Stadiaはスマートフォンにも対応しています。ただ現在の情報ではAndroid携帯だけです。iPhoneは情報がありません。Googleのサービスなので当たり前のことなのかもしれませんが、日本でもっともシェアが大きいiPhoneに対応しないと、少なくとも日本のスマホ市場でStadiaが受け入れられることはないでしょう。

 

大型タイトルがStadiaに来るのかどうか?

ゲーム専用機が売れるかどうかはソフトウェアにかかっています。良いゲームが発売されなければ、ゲーム専用機はただの箱です。

 

いいかえればStadiaでも大型タイトルがリリースされなければ、普及することはないでしょう。

 

・・・実はこれは私のアイデアではありません。WebサイトでStadiaのニュースを見た会社のプログラマが、Stadia用にビルドし直す(プログラムを書き換える)必要があるのなら、大型タイトルが来るかどうかだなあ、と言っていたのをパクっています(^^;。

 

聞いたときは、プログラマーらしい発想だなあ、と感心したのですが、確かにその通りですね。海外ではすでにいくつかの大手メーカーが参戦を表明していますが、まだ具体的なタイトルは出てくるのはこれからです。

 

そして出るとしてもしばらくはゲーム専用機と併売されるでしょう。その売れ行き(というか、Googleの取り分を差し引いたメーカーに入る利益)次第で、ゲームメーカーがStadiaというプラットフォームにゲームを作り続けるかが決まると思います。

 

通信環境は整うのかどうか?

ストリーミングサービスで必須なのは高速は通信環境です。おそらく4Gではきびしく、5Gが必要になるでしょう。

 

5Gは4Gの単なる高速版ではなく、新しい技術を用いることで、レイテンシーも大幅に改善するといわれています。5Gが本格化するのは2019年からで、Stadiaのリリースも同じ2019年であることから、Googleも5Gを視野に入れているのでしょう。

 

仮に通信環境が整ったとしても、もう一つ問題があります。それはスマホの通信費用です。

 

高速な通信環境が整ったとしても、スマホの月額料金に影響するのであればストリーミングサービスを選ぶ人がどれくらい居るでしょうか。少なくとも私なら、WiFi環境のあるところで遊ぶか、Stadiaではなくダウンロード版を選びます。

 

5Gが整えばスマホでStadiaをやり放題!、なんていうのは、ハイパーウルトラスペシャルギガモンスター(テキトーに命名(^^;)のような無制限のサービスの契約者だけでしょう。

 

まとめ ー 色々書いたがStadiaにはすごく期待している

否定的な観測を色々と書いてしまいましたが、実はものすごく期待もしています。移植がなくなれば、それだけで開発の手間は減りますしね。

 

それに私が考えつくようなことは、Googleならとっくに考えついているでしょうから、何らかの対策もしているでしょう。

 

GDCでは他にも開発者向けに色々と発表があり、Unreal EngineやUnityに対応するだけではなく、AIで地形を自動生成のような機能も実装するようです。

 

Stadiaがゲーム業界の未来を変える可能性を持っていることは間違いありません。他の競合になるかもしれない、マイクロソフトや任天堂、ソニーなどのゲーム専用機陣営や、アップルやアマゾンなどの動きも気になります。

 

しばらくはStadiaのニュースを追いかけつつ、ゲーム業界の変化を楽しむことにします^^

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