コンシューマーゲームの利益の考え方は簡単です。パッケージが何本売れるかどうかです。
最近はDLC(ダウンロードコンテンツ)があるのが一般的なので、その部分で収益があったりもするのですが、基本的にはパッケージ版が何本売れるかが勝負になります。
ソーシャルゲームの場合は考え方が異なります。ローンチした段階では利益はゼロなので、運営でどうやって利益を上げていくのかが勝負になります。
今回はソーシャルゲームの運営での利益の仕組みについて解説してみます。
ソーシャルゲームの利益の仕組み
今回はパズドラやモンストのような、広告のない課金アイテムが収益のゲームについて考えてみます。ゲーム内広告についてはスルーということで^^;
ソーシャルゲームの1日の売上は以下の式で計算できます。
1日の売上 = DAU x 課金率 x ARPPU
専門用語を使うとわかりづらいですね。置き換えます。
1日の売上 = 毎日ゲームするユーザー x 課金率 x どれくらいお金を使っているのかの平均
DAUとは、SNSをはじめとするソーシャルメディアやソーシャルアプリなどにおいて、1日にサービスを利用したユーザー(アクティブユーザー)の数のことである。
(出典 IT用語辞典)
有料のオンラインサービスにおける、会員1名あたりの月間支出額平均を意味する語。ARPPUの計算では、無料サービスのみを利用しているユーザー(無課金ユーザー)は考慮されず、課金を行っているユーザーのみの支出額平均が算出される。
(出典 IT用語辞典)
DAUは毎日遊んでくれるユーザー、ARPPUは課金してくれる人の平均額と考えてもらえれば大丈夫です。
仮に5万人のユーザーが毎日遊んでいるゲームがあるとします。そのゲームの課金率が3%で、ARPPUが500円とすると、
1日の売上 = 50,000 x 3% x 500円
という図式になります。1日の売上は75万円で、月額の売上は2,250万円ですね。
DAUや課金率、ARPPUなどの数値を総合してKPIといいます。Key Performance Indicatorの略で、プロデューサーや運営プランナーは、この数値とにらめっこしながらゲームを運営しています。
ソーシャルゲームの運営では、この数値のどれかを上げる必要があります。そうしないと売上が増えないですからね。基本的に運営が一番重要視するのがDAUです。ゲームをプレイするユーザー数自体が多くないと、どんな施策を売っても限界があったりするので。
ソーシャルゲームの施策とKPIとの関係
ソーシャルゲームではKPIを上げるために、様々な施策を打ちます。運営側は、その施策がどのKPIに影響があるのかを把握した上で実施しています。
たとえば、ソーシャルゲームに必ずといっていいほどあるログインボーナスです。
毎日ログインボーナスがあれば、ユーザーはそれ目的でログインする確率が高くなります。
- ログインボーナス→DAUのアップ
- イベント→ARPPUのアップ
- コラボ→DAUのアップ
- 強いキャラや武器の追加→ARPPUのアップ
- 課金アイテムの配布→課金率のアップ
実際にはイベントはARPPUだけに関係している訳ではなく、他のKPIにも影響します。好きなイベントのときだけ課金するという人も一定数いるので、課金率のアップにも繋がります。
コラボはその版権が好きな新規ユーザーが流入することで、DAUのアップが期待できます。それ以外に課金率のアップにも繋がることが多くあります。
課金アイテムの配布がなぜ課金率のアップに繋がるのかは、以前に記事にしましたので、ご一読いただければ嬉しく思います。
なぜ、侘び石を配るのか? ソーシャルゲームで課金アイテムを配る理由
プランナーはゲームの企画だけを作っている、と思われるかともおられるかもしれません。でも実際は、これらの数値をどうやって上げるのかを考えて作っているのです。
まとめ ー ソーシャルゲームは運営で利益を出す必要がある
何度か書いていますが、ソーシャルゲームは運営で利益を出す必要があります。有料アプリならともかく、無料アプリ+アイテム課金という形が大半なので、それはソーシャルゲームの宿命といってもいいかもしれません。
ソーシャルゲームのプランナーは、毎日マーケティングや広報担当と話して、KPIを向上させるために企画を作成していきます。おもしろい企画=いい企画ではなく、おもしろくてKPIが上がる企画=いい企画なのです。
KPIにはもっと色々な数値がありますが、今日はひとまずこの辺で。
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