私は孫請けやひ孫請けが当たり前の小さな開発会社に所属しています。社内では採用を担当したり、実作業をしたり、クライアントとの窓口をしたり、何でも屋的な立場なのですが、一番悩むのがデザイン面のディレクションです。
職種でいうとアートディレクターやデザインチーフ的なポジションです。そのポジションで仕事をすることが一番悩むのです。なぜなら、自分のディレクションとクライアントの見解が異なることがあるからです。
正直なところ他社がどう解決しているのか、知りたいくらい悩んでいます。
クライアントのディレクションと異なる場合
Photoshopのデフォルトのスタイル機能を使って、2つのボタンを作成してみました。デザイン的にはどちらもダメダメですが、今回はそこは本題ではないのでおいておきます。
さて、左のデザインが自社で作成したものだと仮定します。実際の現場ではデザイナーが作成し、アートディレクターがチェックしてクライアントに提出します。
このときにアートディレクターは、クライアントが納得できるものを提出する必要があります。商業デザインである以上、それは当たり前のことですね。
問題になるのは、クライアントの求めるものが右側だった場合、社内のアートディレクターがOKといったものでも、担当デザイナーはやり直す必要があることです。
孫請けひ孫請けの場合はどうなるか
これがゲームメーカーからの元請けの会社であれば、それほど問題は複雑ではありません。
ゲームメーカー
↓
元請け会社
これだけなので、クライアントと社内アートディレクターとのデザイン的な見解が違ったとしても修正は一回で済みます。
孫請けひ孫請けの場合はどうなるでしょうか。
ゲームメーカー
↓
大手ゲーム開発会社
↓
中堅ゲーム開発会社
↓
零細ゲーム開発会社
私が所属しているのは零細ゲーム開発会社です。必然的にチェックする上の会社の見解が違えば、何度も修正が発生する可能性があります。
- アートディレクターの見解通りに作成→中堅ゲーム会社のチェックでやり直し
- 中堅ゲーム会社の指示で修正→大手ゲーム会社のチェックでやり直し
- 大手ゲーム会社の指示で修正→ゲームメーカーのチェックでやり直し
上記のようなことが発生します。その上、ゲームメーカーさんから「仕様が変わったので、ここを変えて」みたいな指示が出たりすると、最初からやり直しみたいな状況になることさえあります。
作業者が社内に居ない場合は持ち出しになるケースも
怖いのは社内に実作業者が居ないケースです。担当しているのが社員であれば、多少は無理したりしても修正対応してくれることもあるでしょう。
ところが協力会社やフリーランスに依頼していた場合はどうでしょうか。さらには海外に依頼していた場合は?
実際に経験したのが海外に依頼していたケースでした。あるゲームのキャラクターのモデリングを東南アジアの会社に発注していたのです。
その会社は良いクオリティで仕事をしてくれました。クライアントからのOKも出たのですが・・・その一つ上のクライアントから修正指示が大量に出ました。
再度、海外に依頼するには納期的に間に合わないので、結局は社内スタッフで対応しました。もし、再度海外の会社に依頼していたら、委託料以上の費用が発生していたでしょう。
まとめ ー 解決方法はいくつかあるが
この問題は解決方法がない訳ではありません。ベストかどうかは難しいところですが、過去に実際に試してみた解決方法をまとめとして記載します。
クライアントの名義で元請けとの打ち合わせに参加
ディレクションの見解の違いは、元請けの指示をきちんと拾い切れていなことから発生するケースがあります。
あるプロジェクトではクライアントさんの指示が曖昧だったため、弊社から人材をクライアントに送り込み、元請けとのミーティングに参加させていただきました。
そのときはクライアントの名義で名刺も用意してもらっての参加でした。実際に元請けと直接話をすると、曖昧だった仕様やデザインの方向性が把握でき、プロジェクトは円滑に進みました。
仕様変更による修正は別料金
もうひとつは仕様変更による修正は別料金であることを明確にしておくことです。
元請けと直接のクライアントとの見解が違った場合は、仕様変更と捉えて追加で料金をもらうようにするのです。そうすれば少なくとも持ち出しは防ぐことができます。
元請けの意向を見抜いて、元請けが一発でOKを出すスーパーアートディレクター的な人でも居れば問題はすべて解決するのですが・・・少なくとも私にはその才能はないようです(^^;
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