ゲーム制作におけるプロジェクトの根幹は人です。人をどう配置するかによってプロジェクトの成否が決まるといっても過言ではないでしょう。でも、それが一番難しいことでもあったりします。
プロジェクトをベテランで固めれば、何も心配することはありません。でも、会社にいる開発スタッフ全員がベテラン、ということはほとんどないでしょう。新人もいれば中堅もいて、スキルが不統一の状態でプロジェクトを進めざるを得ないのがほとんどです。
そうすると結局、各プロジェクトに均等に能力のあるスタッフを分けざるを得なくなるのですが、それでも上手く行く場合と行かない場合があります。
今回はプロジェクト管理における要員管理について記載してみます。明確な答えがある訳ではありません。ただのプロマネの愚痴のようなものだと捉えていただければ(^^;
- 必ずどこかのチームから苦情が発生する
- ゲーム開発の内容が多岐にわたることがプロジェクトを難しくしている
- プロジェクトの内容とスタッフのスキルのマッチング
- まとめ ー 解決方法は・・・まだ見つかっていません。
必ずどこかのチームから苦情が発生する
仮に30人の開発スタッフがいるゲームの開発会社があったとします。分かりやすいようにメンバー構成は下記のような形だったと仮定します。
- ベテラン 10人
- 中堅 10人
- 新人 10人
そして社内で開発プロジェクトが3つ動いていたとします。3つとも10人の要員が必要なプロジェクトだとします。
- プロジェクトA
- プロジェクトB
- プロジェクトC
これにスタッフを振り分けるとき、
- プロジェクトA ベテラン10人
- プロジェクトB 中堅10人
- プロジェクトC 新人10人
とは振り分けません。ほとんどのプロマネが、各個人のスキルを考慮しつつ、
- プロジェクトA ベテラン4人 中堅2人 新人4人
- プロジェクトB ベテラン3人 中堅4人 新人3人
- プロジェクトC ベテラン3人 中堅4人 新人3人
というように振り分けると思います。そしてこうしても必ずどこかのチームから不満が出ます。
ゲーム開発の内容が多岐にわたることがプロジェクトを難しくしている
問題の一つは、ゲーム開発の内容が多岐にわたることです。
- 企画
- 3DCG
- 2DCG
- イラスト
- プログラム
- シナリオ
- サウンド
ざっと開発の要素を上げてみましたが、この中身はさらに細分化されています。
たとえば3DCGだと、下記のような要素があります。
- モデリング(背景なのかキャラクターなのかアセットなのか)
- マテリアル(質感設定やテクスチャの作成)
- リグ(キャラクターを動かすためのセットアップ)
- モーション(キャラクターアニメーション)
- ライティング(光源やレンダリングの質感設定)
さらに使用ツールもマチマチです。
- Maya
- 3dsMAX
- Zbrush
- SubstancePainter
- SubstanceDesigner
さらにそれぞれのソフトにプラグインがありますし、UnityやUE4などのゲームエンジンを使うこともあります。
こうなるとベテランや中堅でもプロジェクトにマッチしない可能性も出てくるのです。
プロジェクトの内容とスタッフのスキルのマッチング
プロジェクトAの作業内容を3DCGでのキャラクター制作と仮定しましょう。
- キャラクターモデルの作成
- テクスチャの作成を含むマテリアルの設定までが作業内容
- 使用ツールはMaya、Zbrushでノーマルマップの作成
こう仮定したときに、チームの核になるベテラン4人のスキルが以下のような形だったらどうでしょうか。
- ベテランA Maya◎ 3dsMAX△ Zbrushー
- ベテランB Maya◎ 3dsMAX◎ Zbrushー
- ベテランC Mayaー 3dsMAX◎ Zbrush△
- ベテランD Mayaー 3dsMAXー Zbrush◎
メインツールであるMayaを二人が使用できないとなると、それだけでプロジェクトが炎上する可能性が高くなってきます。まあ、これは極端な例ですが。
Mayaを使えるスタッフで固めれば良いのですが、受託するプロジェクトによって使用するツールが変わるので、なかなかそれも難しかったりします。
まとめ ー 解決方法は・・・まだ見つかっていません。
まとめに解決方法を書きたかったのですが、実は良い解決方法はまだ私自身も分かりません。色々と本を読んだりして勉強している最中でもあります。
実際に導入しようとして上手く行かなかったのが、スタッフの数値化です。
たとえば10人分の予算があるプロジェクトで、一人分の予算を100とします。そうするとそのプロジェクトの合計値は1000になります。そして各スタッフの能力を数値化します。
- ベテランA 140
- ベテランB 136
- 中堅C 114
- 中堅D 104
- 新人E 78
- 新人E 64
たとえば上記のように数値を付けたとします。この合計値が1000に近くなるようにスタッフを各プロジェクトへ割り当てるのです。このスタッフの数値は各プロジェクトのリーダーと相談して決めます。
この方法で解決・・・はしませんでした。
その理由が見出しの3番めに書いた作業内容とスタッフのスキルの食い違いです。3Dモデリング能力が高いベテランの人でも、MAX使いでMayaが使えない、とかですね。
違うソフトで作業すると、もちろんその分作業効率は落ち、設定した数値の意味が失われてしまいます。
ゲーム開発のプロジェクトの正しいやり方は何だろう?、と悩む日々です。
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