小学生くらいの頃、毎週金曜日の8時から必ずワールドプロレスリングを観ていました。当時の私にとって、最強の格闘技はプロレスであり、中でも最強のレスラーといえばアントニオ猪木と信じて疑うことはありませんでした。
いつの間にかブックの存在を知り、プロレスが筋書きのある興行だと認識するようになっても、心のどこかでプロレスラーの強さを信じていました。私の中でその強さの対象が、プロレスラーから総合格闘技へと移った事件がヒクソン・グレイシーVS髙田延彦戦でした。
(出典 Amazon)
髙田延彦がプロレスラーとして強かったのかどうかは、正直なところ私には分かりません。それでもプロレスが最強の格闘技だと信じていた私にとって、プロレスラーのあっけない敗北は衝撃的な事件でした。
ヒクソン・グレイシーVS髙田延彦戦とは?
試合の詳細については動画を観ていただくのが一番だと思います。
わずか1分15秒ほどのダイジェスト動画です。最初に両者の紹介があるので、実質的な試合動画の時間は50秒ちょっとでしょうか。
正式な試合の結果は1R4分47秒、腕ひしぎ逆十字固めにより、ヒクソン・グレイシーが勝利します。個人的には髙田が勝つか、負けるとしても激戦になるだろうと思っていたので、ヒクソンVS髙田戦はあまりにもあっけない結果でした。
「プロレスが死んだ日。」はグレイシー寄りの内容
書籍としての「プロレスが死んだ日。」は、少しグレイシー寄りな印象を受けました。著者がヒクソン・グレイシーと親しいようで、ヒクソンとの個人的な会談の話やトレーニングの様子なども記載されています。
桜庭和志VSホイラー・グレイシー戦についても記載があるのですが、
- 戦う権利を奪われたホイラー
- 「桜庭を勝たせたい」との意向を忖度した
と書かれています。
実際の桜庭VSホイラー戦は桜庭のチキンウイングアームロックが決まっており、脱出はほぼ不可能な状況でした。ホイラーが関節の柔らかい人物だったとしても、試合の勝敗は動かなかったでしょう。
仮に最後のチキンウイングアームロックが決まってなかったとしても、桜庭VSホイラー戦を見た人であれば、打撃においても寝技においても桜庭がホイラーを圧倒しており、桜庭が優位だったのは間違いありません。
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髙田延彦、ヒクソン・グレイシーは強かったのかどうか
ヒクソン・グレイシーの活躍により、一時は最強といわれたグレイシー柔術も今は評価が変わりつつあります。ヒクソン・グレイシー自身の400戦無敗は真実ではないでしょうが、彼が強かったのは事実なのでしょう。
一方の髙田延彦は強かったのかどうかは分かりません。
ヒクソンVS髙田戦のあとにアントニオ猪木は「よりによって一番弱い奴が出ていった」とコメントしています。プロレスこそが史上最強の格闘技だと主張するアントニオ猪木にとっては、そういうコメントを出さざるを得なかったのかもしれませんが。
そしてヒクソン・グレイシーも本当に強かったのかどうかは分からないと感じています。ヒクソンは前田日明や桜庭和志との対戦オファーを断っています。特に桜庭和志はホイラー・グレイシー選手と戦ったあとに、ヒクソンとの対戦を要望しています。
ところが桜庭VSヒクソン戦は実現せず、次に対戦したのはヒクソンの実弟であるホイス・グレイシーでした(結果は桜庭の6R TKO勝ち)。それでもヒクソンは桜庭と対戦しようとはしませんでした。
年齢的にみればヒクソンは桜庭より10歳年上です。体力的に衰えつつあったヒクソンは、上り調子にある桜庭との対戦を避けたのかもしれません。
まとめ ー 格闘技本としては良書
ヒクソン側からの見解が多いのが気になりますが、格闘技本としては良書です。この本を読まなければ知らなかった事実もたくさん記載されています。
私自身は最近はほとんど観なくなったものの、プロレスファンであることは間違いありません。この記事も読み返してみるとちょっとプロレス寄りな記載がありますが、それは私個人の書評ということで、グレイシーファンの方にはご容赦いただければと思います。
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