レストランで三つのランチがあります。
Aランチ 1,000円
メイン、パン、サラダ
Bランチ 1,200円
メイン、前菜、パン、サラダ、スープ
Cランチ 1,500円
メイン、前菜、パン、サラダ、スープ、デザート、コーヒー
当然のことですが、どれか一つを選択する必要があります。
貴方はどれを選択しますか? もしくはこの中で一番選択されやすいのはどれだと思いますか?
正解はBランチです。その理由は、人間は三段階の選択肢を提示されると、極端な選択肢を回避する気持ちが働き、真ん中の選択肢を選ぶことが多いそうです。
レストランなどでメニューやコースが3種類あったときに、真ん中のメニューを選択したことはありませんか?
インパクトのある絵柄だが内容は素晴らしい
正直なところ本屋で見かけた時は、マンガの絵柄からこれはどうなんだろう、とちょっと考えてしまいました。それくらいインパクトのある絵柄ですが、マンガの内容は秀逸です。
人間の行動の原理を分かりやすくマンガにたとえて解説してくれています。人間の行動の原理、という適切ではないかな。人間の行動の不思議さ、不合理だけどなぜそういう行動をしてしまうのか、をマンガで解説した本、という表現が適切かもしれません。
冒頭で書いた三種類のメニューもその一つです。もしこのメニューが二種類しかなければ、ほとんどの人がAランチを頼むでしょう。ところが選択肢が三つあることにより、一番安いメニューを頼みたくない、という意識が働き、真ん中のメニューを選んでしまうのです。
ヘンテコノミクスの内容を一部紹介
(出典 ヘンテコノミクス)
読んでいただければ一目瞭然ですが、簡単に解説します。
- 子どもがおじいさんの家の塀に落書きしている
- おじいさんは子どもの落書きに困っている
- ある青年がおじいさんに知恵を授ける
- 次の日からおじいさんは落書きのお礼に子どもにお小遣いを与える
- しばらくの間落書きの度にお小遣いを与える
- 一定期間お小遣いを与えたあとで、お小遣い与えるのを止める
- お小遣いがもらえない子どもは落書きを止める
- おじいさんの目的達成!
人間の行動って不合理ですよね。元々、子どもたちはお小遣いなど関係なく、落書きすること自体が楽しかったはずです。なのに、お小遣いをもらうことにより、目的がいつの間にかすり替わっていたのです。
行動経済学では上記のような行動を、アンダーマイニング効果というそうです。
ヘンテコノミクスでは上記のような行動経済学の効果や理論を、ひとつずつマンガで紹介しています。一話が4ページのマンガで構成されていて、合計で23話がこの本に収められています。
今すぐもらえる1千万円と10分の1の1億円では?
お金に関するちょっとしたクイズです。
- 今すぐ無条件で一千万円をもらえる
- 10分の1の確率で10億円もらえる
どちらかを選択してください、といわれた場合、ほとんどの人が今すぐ一千万円を選択すると思います。私ももちろんその人です(^^;。過去記事にも書いていますね。
プロスペクト理論と双曲割引を問題形式で解説。正しい選択はどちら?
上記のクイズは、期待値で考えると、正しい答えは10分の1の10億円です。
10分の1の確率で10億円もらえるということは、期待値で計算すると1億円です。一千万円は逆立ちしても何も変わらず一千万円のままです。
期待値で10倍もの差があるのに、ほとんどの人が一千万円を選んでしまう不思議さが行動経済学のおもしろさの一つといっていいでしょう。私などは頭で分かってはいても、
10分の1なんて当たらないから、今すぐ一千万円もらう!
と言ってしまいそうです(^^;
まとめ ー 立ち読みしてでも読むべき一冊!
私は学生時代に書店でアルバイトをしていたことがあります。それもあって立ち読みはあまり好きではないのですが、この本は是非とも書店で立ち読みしてみてください。
そしてちょっとでも、この本には価値がある、と思ったら購入をお薦めします。
人間って意外と不合理な生き物なんだなあ、というのが分かる本ですし、そしてそう分かったとしても、おそらく同じ行動をしてしまうと思います。
ああ、これはあるわー。そうか、そういう行動してしまうわ!
というような突っ込みをしてしまう本です^^
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