先日、ゲーム業界にとっては衝撃的なニュースがありました。米国の上院議員がガチャを禁止する法案を発表したのです。
米国の上院議員ジョシュ・ホーリー氏が発表した法案の概要をまとめると、下記のようになります。
- 未成年がプレイするゲーム
- ルートボックス(ガチャ)の禁止
- Pay to Winの禁止
実はこの流れは最近発生したものではありません。ルートボックス(課金することでランダムにアイテムが手に入るシステム。日本でいうガチャ)をなくそうという動きは以前からありました。
今回はゲーム業界の端っこにいる人間として、ソーシャルゲームにおけるガチャについて考えてみます。
ガチャはすでに一部の国では違法
日本のソーシャルゲームの利益の大半は、ガチャというシステムから得ています。あるゲームプランナーさんが、ガチャがベストとは思わないが、現状ではガチャに変わるシステムが見当たらない、と仰ってました。私もその意見に同意です。
ただ、Appleがガチャの確率表示を義務化したこともあり、ガチャに対する視線は厳しくなっています。そして海外の一部の国では、ガチャがすでに違法になっています。
ゲームの「ルートボックス(ガチャ)」はベルギーでは違法 – GIGAZINE
リンク先の記事を要約すると、下記のようになります。
- ベルギーの賭博関連法に違反
- 1億円の罰金か懲役5年の刑罰
- 指摘されたのは3つのゲーム
この記事が掲載されたのが2018年4月です。今から約1年前ですね。そして今回の米国でのニュースといい、ガチャ禁止の流れは今後も加速していくことになるのでしょう。
今は問題になっているのはコンソールゲームだが
ベルギーで賭博関連法に違反したと指摘されたのは、コンソール(コンシューマー)ゲームです。スマートフォンをプラットフォームにしたソーシャルゲームではありません。
まあ、最近はコンソールゲームにもDLCやガチャがあり、ソーシャルゲームとの垣根がなくなりつつありますが、それは今回は本題ではないので置いておきます。
コンソールゲームは、最初にお金を支払ってパッケージを購入します。それもあって購入後のガチャが、違反として厳しくチェックされた可能性があります。
一方のソーシャルゲームは、開発資金を運営期間中に回収する必要があります。そのためまだガチャに関する規制はそれほど厳しくはありません。ただ、前述したアメリカのガチャ禁止の法案は、スマートフォン向けソーシャルゲームに対するものです。
ガチャ禁止の場合の課金方法は?
もし仮に、ソーシャルゲームからガチャが消えることになったとしたら、課金はどうなるのでしょうか。
例えばパズドラの場合、課金方法は4種類です。
- ガチャ
- ボックス拡充
- スタミナ回復
- コンティニュー
このうち、ガチャが規制された場合は、他の課金方法だけだと売上が激減するでしょう。パズドラはスタミナ回復時間の短縮や、キャラクターのスタック化もあり、ユーザーの課金はガチャに偏りつつあるといえます。
私が現在、ハマっているゲームに新三国志がありますが、新三国志の場合はガチャが禁止されてもあまり影響がないでしょう。その理由は、このゲームの課金の大半は時短アイテムだからです。
ポイントになるのはpay to win
ポイントになるのはpay to winです。pay to winとは課金すれば圧倒的に有利になるゲームシステムのことです。現在の多くのソーシャルゲームは、キャラクター(もしくはアイテム)をガチャで手に入れることで、ゲームを有利に進めることができます。
もちろんガチャというシステムがまったくないソーシャルゲームも存在します。例えば世界的にヒットしているクラッシュ・オブ・クランは、ガチャという概念がありません。課金は大工と時短アイテムが中心です。
新三国志の場合は、ガチャの影響は少ないのですが、VIPという要素があります。これは課金すると、プレイ条件がよくなるシステムなので規制される可能性があります。ガチャでないにしても、課金すれば有利になるシステムなので。
まとめ ー 今後は課金の方法が変わっていく
ソーシャルゲームからガチャが消えれば、課金の方法も変わるでしょう。ただソーシャルゲームが運営期間で開発資金を回収するという宿命を背負っている限り、課金がなくなることはないでしょう。
そして前述したことと矛盾するようですが、課金すれば有利になるようなシステムでないとユーザーは課金をしないので、課金者がゲーム内で有利であることは変わらないでしょうね。
ただ無課金でも時間をかければ、課金したユーザーと対等にプレイできるゲームデザインになっていくのではないでしょうか。
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