心が入れ替わる物語はいくつかあります。最近だと有名なのは「君の名は。」でしょうか。「ネットで儲ける王様のカラクリ」は入れ替わりを利用した物語タイプのビジネス書です。「君の名は。」と異なり、入れ替わるのはどちらも男性で友人同士です。
二人の職業は、花屋の跡継ぎとIT会社のサラリーマンです。それぞれ立場の違う二人なのですが、花屋の跡継ぎはホームページを作って売り上げを伸ばそうと考えています。IT会社のサラリーマンは、日本有数のIT会社でWebサイトを作成したり、サービスを提供する側ですね。
この二人が入れ替わって、ネットビジネスのカラクリを分かりやすく紐解いたのが本書になります。
(出典 Amazon)
ネットで儲ける王様のカラクリのあらすじ
同窓会の帰り道、平木と城之内は雨に降られて杉の木の下で雨宿りをしていた。平木はIT会社に勤めるサラリーマンで、城之内は実家の花屋を継いでいた。城之内が花屋の売り上げを上げるために、
- ホームページを作ろうとしていること
- キングスター社に依頼するつもりであること
を平木に話すと、平木の態度は急に冷たくなった。
平木が現在、勤務しているIT会社が「キングスター社」だったのだ。
雨が小振りになったこともあり、二人が杉の木を出て走り出したとたん、落雷に遭い二人とも気絶してしまう。二人が病院で目が覚めたとき、二人の身体は入れ替わっていた・・・
物語りタイプのビジネス書は読みやすい
この本が出版されたのは奥付を見ると、2013年4月です。流行りという訳ではないと思いますが、こういう物語タイプのビジネス書は読みやすいですね。もちろん「君の名は。」よりも以前に出版されているので、入れ替わりネタであっても「君の名は。」とは関係ありません。そもそも入れ替わりネタは古くからあるので。
Webサイトを作成して店の売り上げを上げようとする個人商店と、ネットサービスを提供する側である企業の人物が入れ替わるので、それぞれの裏側が分かりやすく書かれています。
キングスター社という架空のネットサービスの会社が出てくるのですが、現実ではここまでひどい会社は存在しないのではないでしょうか。
ホームページを作れば集客になる?
ホームページを作ればそれだけで集客になる、とい考える人が対象でしょうか。ホームページは24時間休まず働き続ける広告塔です、というのをどこかで聞いたことがありますが、少しでもネットに詳しい人であれば、それが真実ではないことはすぐに理解できると思います。
実際のWeb制作会社がどのようなサービスを展開しているのか私には分からないのですが、ホームページの運営をきちんとやっていない会社はありそうな気がします。
元IT会社で花屋の跡継ぎに入れ替わった平木が(ややこしい^^;)、妹である雅美に検索キーワードの解説やネットサービス会社の設け方について解説するシーンは、これだけで読んだ価値がある、と思わせられるものでした。
まとめ ー ホームページでの集客を考えている方に
ホームページで集客を、と考えている方にお薦めです。ページの制作を誰かに依頼するにしても、この本を読むことで予備知識が手に入ります。それだけでも大いに価値がある、といっていいでしょう。
ネット黎明期ならともかく、今はホームページを開設したからといって、そこから集客できるような時代ではありません。ネットサービス会社に勤めるサラリーマンが、個人商店の跡継ぎになったら、どんなネット戦略で売り上げを上げるのか、という点で読み応えがあります。
それに、IT会社の同僚である吉原が、平木の心を持つ城之内のお店に営業にくるくだりなどは、物語として純粋におもしろいですね。
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