書店で平置きになっていたので、買って読んでみました。読後感に浸っているときに検索してみたら、最近映画化されたようです。
なるほど。それで書店で平置きされていたのか。
映画の主人公は木村拓哉さんです。映画はもちろん観ていないのですが、ちょっとイメージとは違いました。主人公の新田刑事は30代半ばなので、もっと若い俳優が演じるかと思っていたのですが。
いや、観る前に批判するのは止めておきましょう。
発売時期を気にせず本を買うタイプなので仕方ないのですが、発売時期が古い本を買うとちょっと損した気分になったり(^^;
ま、いっか。
マスカレード・ホテルのあらすじ
東京都内で起こった3件の連続殺人事件には、不思議な謎があった。数字が書かれたメッセージが残されていたのである。
連続殺人事件の犯人は皆目不明だったが、警視庁は数字の謎を解くことに成功した。次の殺人事件の日時と場所が判明したのである。
第4の殺人事件として予告された場所は、高級ホテルの「ホテル・コルテシア東京」だった。
警視庁は連続殺人事件を阻止するために、捜査員をホテルスタッフとして潜入捜査させる。
捜査一課の新田浩介刑事は英語ができることから、フロントクラークに配属されることになった。ホテル側からは新田の教育係として、優秀なホテルマンである山岸尚美が選ばれた。
お互いの倫理感の違いなどから、新田と山岸は衝突を繰り返していたが、犯人逮捕という目的に向けて協力し合っていく・・・
敏腕刑事と謹厳実直なホテルマン
おもしろいのはお互いの職業からくる倫理観の違いですね。優秀なホテルマンである山岸は、新田を教育しようとします。
潜入捜査であっても、ホテルマンとして客に接する以上は失礼があってはならない。
というのが山岸が持つ倫理観なのでしょう。
新田刑事は当初は、自分は潜入捜査をするだけでホテルマンになるわけではない、といって拒否していますが、時間が進むにつれて優秀なホテルマンに変貌します。環境が人を変えると聞いたことがありますが、それが当てはまる感じでしょうか。
高級ホテルの裏側がちょっと楽しい
著者の東野圭吾氏は本作を執筆するにあたり、よっぽど綿密にホテルを取材したのでしょう。もしくは高級ホテルに幾度となく泊まり慣れているかですね。
部隊が高級ホテルへの潜入捜査なので、ホテルの裏側の描写がいくつも出てきます。
例えば、禁煙室を希望した客が、タバコの臭いがするので部屋を替えてくれと言い出す一件です。客は部屋のグレードアップを狙って、部屋に案内されたあとにタバコに火をつけます。
そうして部屋にタバコの臭いがするようにしたあとで、ホテルマンを呼び、タバコの臭いがするから部屋を替えてくれ、と言い出すのです。
ホテルマンは半ば自作自演であることを知りつつ、スイート・ルームへと部屋を変更します。優秀なホテルマンは客と駆け引きをしないそうですが、それが分かるシーンです。
まとめ ー 伏線とどんでん返しがあってこそのミステリ
今回も東野圭吾に必ずある伏線とどんでん返しは健在です。古典的といいわれようが、これがないミステリはミステリとは認めません。
まあ、さすがに「名探偵、全員集めて、『さて』といい」という展開までは期待していませんが、伏線とどんでん返しが合ってこそのミステリだと思います。
そういう意味では、読者の期待を裏切らない作品です。読了後に他の人の感想が気になってネット検索してしまうくらいに。
本当は連続殺人事件の核心についてもブログに書きたいくらいなのですが、映画が公開されてまだ間もないので、泣く泣く割愛することにします。
映画が一段落したら、また書こうかな^^
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