東京の神田神保町に、カウンター12席だけの定食屋さんがあります。未来食堂という名前の食堂で、経営されているのは「小林せかい」さんという方です。今回の書評はその小林さんの三冊目の本になります。
実は前作は読んでいません。この本は書店を散策しているときに、出口治明さん推薦という帯の文言に惹かれて買ってみました。購入してから数ヶ月積読状態だったのですが、先週末に積読本を整理しているときに見つけ、気になったので読んでみました。
少し変わった定食屋さんのお話です。「少し」ではないかな。かなり変わった定食屋さんです。大阪在住の私としては、お店が東京にあるので、気軽に訪問できないのがすごく残念です。
「まかない」「ただめし」「あつらえ」未来食堂の特徴
未来食堂は店主の小林せかいさん一人で経営されています。この本を読むまで知らなかったのですが、様々なシステムを導入していることで、有名な食堂のようです。
- 50分間お店の手伝いをすれば一食分が無料
- 店の前の張り紙があれば無料で食事ができる
- 午後は自分の好みのおかずをオーダーできる
- メニューは日替わり定食一種類のみ
- 値段は初回900円、2回目からは800円
- その日の最初に訪れた人は申告すれば500円
- ご飯は食べ放題(おひつから自分でおかわりできる)
- お酒などの飲み物は持ち込み可
- 日祝月休み
- 平日は11時-16時 金土は11時-22時
システムを書き出してみました。お一人で経営されているので、臨時休業もあると思います。営業時間に関しては未来食堂さんのWebサイトでご確認ください。
「まかない」というのが50分間お店の手伝いをすれば、一食分が無料になるシステムです。ほとんどの人が食事が無料になることよりも、飲食店経営希望者が勉強のために働くことが多いようです。たしかに厨房のオペレーションを学ぶのには良いかもしれません。
「ただめし」は上記の「まかない」を担当した人が、一食分無料を利用しなかったときに他の人が無料で食べられるサービスです。「ただめし」の券はお店の前に貼られるようで、その紙を会計のときに渡せばただで一食分を食べられるようです。
「あつらえ」はランチタイム以外の時間に、お店のある食材を利用して自分好みのおかずをオーダーできるシステムです。一品が400円なので、定食費用の900円と合わせて1,300円になるのかな。
未来食堂の様々な合理的なシステム
(出典 食べログ)
メニューが一種類しかないということは、食材は絞ることができますね。そのときどきの旬な食材や安い食材で、日替わり定食を構成されているのでしょう。
「まかない」にかかる費用も一食分なので、定食代の900円がかかるというよりは一食分の原材料費で50分間の雇用が確保できるということなのでしょう。手伝いをしようと考える人が、飲食店の経営希望者であれば、ズブの素人の人が「まかない」をすることもないのでしょうね。
「ただめし」も「まかない」をした人がそれを利用しなければ、お店に前にその券が貼られるというシステムなので、お店は損はしていないですね。「ただめし」券にどれくらい集客力があるのかは分かりませんが、お店の宣伝にはなるでしょう。
「あつらえ」はお店にある食材というのがポイントだと思います。食材の有効利用ができますね。
食堂を舞台にしたビジネス書
この本は未来食堂という食堂を舞台にしたビジネス書です。帯の出口治明氏の言葉にも「久々に”まとも”なビジネス書に出会いました」と書かれています。
本の中にはPDCAの解説なども登場します。普通の食堂の本にはPDCAという言葉は出てこないでしょうね。PDCAという言葉は別に難しいものではなく、日常生活や異性を口説くのにも使えたりします。
食堂でなくても普通のお店であれば、会計のときに10円や5円を分けてレジに収納すると思います。ところが未来食堂は10円以下の仕分けはしないそうです。メニューが50円刻みであり、分けて収納する必要がないのです。ランチタイムに効率よくお客さんを回転させるためのオペレーションの簡略化なのでしょう。
未来食堂のシステムで少し心配なのは「まかない」をする人がどれくらいお店の運営に関わっているのかですね。下手な人が入ると、サービスの低下に繋がりそうな気がします。お店が成り立っているということは、「まかない」さんの作業がそれだけマニュアル化されているのだとは思いますが。
まとめ ー 一番気になっているのは料理が美味しいのかどうか
本を読み終わって一番気になっているのが、未来食堂の料理が美味しいのかどうか、です。こればっかりは食べてみないと分かりません。気になって食べログなどの評判もチェクしてみたのですが、賛否両論で正直なところ分かりません。
本の感想は書けても、行ったことのないお店の味の評価は書くことはできないので、実際に訪れるときの楽しみにおいておきます。
東京出張が入ったら食べに行ってみようかな^^
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