トロッコ問題と呼ばれる有名な問題があります。
私がこの問題を知ったのは、行動経済学の本で紹介されていたからなのですが、ジャンルとしては、本来は論理学や道徳に分類される問題のようです。
内容的にちょっと重い、というか、人によっては考え込んでしまう問題ですので、苦手な人はご注意ください。
トロッコ問題とは?
猛スピードで暴走しているトロッコがあります。線路上には5人の人間が作業しており、このままでは5人全員が死亡してしまいます。貴方は分岐器の前におり、トロッコの進路を切り替えるチャンスがあります。ただし、切り替えた先には1人の人間が作業しています。
貴方はそのままにして5人を見殺しにしますか?
それとも分岐器を操作して、1人を犠牲に5人を助けますか?
トロッコ問題のバリエーション
トロッコ問題にはバリーションがあります。
前提条件は同じです。暴走しているトロッコとその先には5人が作業しています。ただし分岐器はありません。貴方の前には体重が100kg超の人が立っています。彼を押せばトロッコは止まります。ただしその人は確実に死亡します。
貴方はそのままにして5人を見殺しにしますか?
それとも目の前の人を突き飛ばして、1人を犠牲に5人を助けますか?
倫理的な結論と功利的な結論
功利的な観点から考えれば、分岐器の操作でも一人を突き落とすことも同じです。要は5人を助けるために1人が死亡するのです。結果は同じですよね。
ところが、最初の問題で分岐器を操作をすると答えた人でも、二番目の問題では「突き飛ばすことはしない」と答える人が増えるそうです。それはどんな状況でも殺人は良くないという心理が働くからです。結果だけをみれば、1人を殺して5人を助けていることは同じなのですが。
そして最初の状況でも二番目の状況でも、何も行動しないという人が一定数存在します。
答えのない問題のひとつがトロッコ問題といっていいでしょう。
元々はカルネアデスの板かな
似たような問題で「カルネアデスの板」があります。古代ギリシアの哲学者カルネアデスが考えた問題です。
男Aが乗っていた船が沈没したが、Aは幸いにも漂流していた木の板につかまることができた。そこに乗客Bがたどり着いたが、木の板に二人が捕まっていると沈んでしまうので、AはBを突き飛ばした。
結果としてBは溺死し、Aは助かった。
さて、Aは罪に問われますか?
という問題です。そうしないと自分が助からないケースで、罪に問えるか?、という問題ですね。
ちょっと古いのですが「トップをねらえ!」というアニメがあります。人類を助けるために異星人と戦うのですが、その異星人と戦う計画がカルネアデス計画でした。
人類を助けるために異星人を殺してもいいのか、という点からカルネアデス計画とネーミングしたのでしょうね。
トロッコ問題に類似した問題
トロッコ問題に似た問題はいくつも存在します。
病院で貴方が医師のケース
中毒事件が発生しました。貴方は医師で解毒薬を持っています。手前の部屋には重症患者が1人、奥の部屋には5人の患者が苦しんでいます。手前の部屋の患者を助けていると奥の患者への処方は間に合いそうにありません。
貴方はどちらを助けますか?
ただ一人救命ボートにたどり着いたが・・・
乗っていた船が沈没しましたが、貴方は幸いにも救命ボートにたどり着きました。周りを見回すと、右側に1人の人が溺れています。反対側には5人の人が溺れています。どちらも今にも溺れ死にそうであり、両方助けることはできません。
貴方はどちらを助けますか?
今回はまとめなし
いつもの私のブログの記事には、ブログの作法?に則って、まとめの項目を書いているのですが、今回はまとめなしにします。
私自身も答えが分からないので(^^;
あらためて考えても、何が正解なのか私にもわかりません。いや、正解がない問題なのでしょうね。1人よりも5人を助けた方が良い、とは思うのですが、そのために目の前の人を突き飛ばせるか、といわれると・・・答えることができないのです。
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