「君の名は。」がテレビで初放送されました。
私自身は映画館に観に行ったので、地上波での放送を楽しみにしていたという訳ではないのですが、何となくそわそわしてしまいます。
ぐわぐわ団のまけもけ (id:make_usagi)さんが、子どもの成長を見守る親みたいな心境と書いておられますが、それに近いかもしれません。
(出典 君の名は。)
アニメと遊技機の映像製作の順序の違い
アニメとゲームの映像制作の違い、と書きたいところですが、ゲームの場合はリアルタイムのため映像制作とは少し考え方が異なります。ゲームの場合は映像ではなく、レベルデザインという言葉の方が適切かもしれません。
ここでは遊技機の映像製作と比較してみます。
アニメの場合
絵コンテ
↓
レイアウト(画面の構成)
↓
原画(キャラと背景は別々)
↓
着色
↓
コンポジット
↓
完成
製作のワークフローは上記の通りです。私はアニメの製作経験はありませんが、仕事がらアニメ製作者と打ち合わせすることもあり、ワークフローに大きな間違いはないと思います。
作画がアナログの場合は原画をスキャンしてから着色するのですが、今は最初からデジタルで作画するケースも多いようです。
遊技機の場合
絵コンテ
↓
ビデオコンテ
↓
レイアウト(3Dソフト上でキャラの配置)
↓
アニマティクス(簡単な動きを付けた映像)
↓
仕上げ(マテリアル、モーション、エフェクト)
↓
コンポジット(ポストエフェクト)
↓
オーサリング
↓
完成
簡単に用語を説明します。引用形式にしていますが、私自身の解説なので、言葉足らずのところはご容赦を。
ビデオコンテ
V(ブイ)コンとも呼ばれる。絵コンテをデジタル上で切り貼りして、AfterEffectsなどの映像ツールで動きをつけた動画。
レイアウト
3DCGソフト上でのシーンを作成すること。キャラクターや建物などのオブジェクトや、カメラを配置したもの。
アニマティクス
キャラクターやオブジェクトをビデオコンテの動きに合わせて動かしたもの。キャラクターには簡単なモーションを設定する。
ワークフローに仕上げと入っていますが、これはマテリアルやセカンダリモーション、エフェクト作成のことを総称して書いています。おそらく会社によって、ここは呼び名が異なると思います。
遊技機の場合、ビデオコンテを作らず、いきなりレイアウトやアニマティクスを作成するケースもあります。もっと簡単な演出の場合は、絵コンテやビデオコンテも作らずに、いきなり実機用の映像を作成することもあります。
オーサリングというのは実機に組み込むためのデータ作成のことです。遊技機の場合は映像の上に色々と表示物が載るので、映像をROMに組み込むためにデータを整える必要があります。その工程をオーサリングと呼んでいます。
君の名は。の場合は少しワークフローが異なる
さて、君の名は。の場合は少しワークフローが異なるようです。過去に購入したCGWORLDに記事が掲載されていました。
『君の名は。』の世界に散りばめられた、3DCG素材を活かした新たな表現の探求 | 特集 | CGWORLD.jp
君の名は。の場合
絵コンテ
↓
レイアウト(3Dソフト上でキャラの配置)
↓
原画(キャラと背景は別々)
↓
着色
↓
コンポジット
↓
完成
君の名は。の場合は、3DCGソフトで建物を製作したり、キャラクターの動きまである程度作成し、それをアニメの作画用に利用しているようです。
確かにこういうワークフローだと、作画のときにパースを引っ張ったりする必要もなく、細かなキャラの動きなどもレイアウトの段階で調整することができますね。
まとめ ー 君の名は。のストーリーも良いけども
君の名は。の作品としての良さはもちろんストーリーにあります。でも、CGデザイナーとしては、映像も良いよね、ということが少し言いたかったりします。
私自身は「君の名は。」とは何の関係もない一個人ですが、君の名は。が好きな作品なだけに、その映像も気に入っていただけると嬉しく思います。
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