(出典 毎日新聞出版)
明智光秀の戦国就活物語
鉄砲術、柔術、棒術などの武芸に優れ、今川義元と対等に古典の話ができるくらい教養人なのに素浪人である明智光秀。
既に初老であることから、青年将校がひしめいている織田家には士官できず、年齢の近い今川義元が率いる今川家に士官しようと試みます。
ところが神出鬼没の織田信長と、資金を調達してくれる木下秀吉に引きずられて、桶狭間の戦いに織田軍として参加します。
秀吉も秀吉で、織田家に忠義を尽くしている訳ではなく、織田家が滅べば今川家に鞍替えしようと算段しています。
そうしたなか、桶狭間でいくつかの奇跡が重なって・・・
信長、秀吉、家康、そして光秀との年齢差
「四人」シリーズの四人とは三英傑プラス明智光秀のことです。
- 織田信長 神出鬼没で言動が掴めない変人
- 豊臣秀吉 銭金の調達と周旋の才はあるが、武芸はまるでできない
- 徳川家康 律儀者で武芸もできる好青年
- 明智光秀 武芸の達人で博打好き。能力はあるが運はない
性格もさることながら、読んでいて意識するのは四人の年齢です。一人だけ突出して年齢が離れています。
- 明智光秀 44歳
- 織田信長 27歳
- 豊臣秀吉 24歳
- 徳川家康 19歳
戦国時代は人生50年といわれていたことを考えると、明智光秀のみが既に初老です。山崎の戦いに敗れた光秀が、小来栖で命を落としたのが63歳です。
織田信長よりは年上だったのは認識していたのですが、これほど年齢が離れていたとは思いませんでした。
信長の正室の濃姫が明智光秀の恋仲だった、という逸話を聞いたことがあるので、信長と年齢が近いのかと考えていました。
でも、これだけ年齢が離れていると、濃姫と光秀が恋仲で、政略結婚で引き離されたことが本能寺の変の遠因になった、というのはなさそうですね。話としてはおもしろいのですが。
ちなみに44歳の光秀が桶狭間の戦いに参加したという記録はありません。
光秀は青年期の動向がほとんど分かっておらず、桶狭間の四人はそれを上手く使った小説ともいえますね。
まとめ ー 光秀と秀吉の掛け合い漫才がおもしろい
桶狭間の四人の主役は間違いなく明智光秀です。そして準主役級の活躍をするのが秀吉ですね。家康は今回は少し影が薄く、信長の神出鬼没っぷりと変人なのはいつも通り、というところでしょうか。
抜群の才能を持ちながらも、運がなく既に初老の域に達した明智光秀と、政事の才能は突出しているが陰の仕事から抜け出せず、戦闘では全く役に立たない木下秀吉。
二人の会話と信長の変人っぷりが楽しい歴史「小説」です。
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