著者は「話を聞かない男、地図が読めない女」を書いたピーズ夫妻です。文章のほとんどをアラン・ピーズ氏が書いたそうですが、二人による共著になっています。
一言でいうと「優れた自己啓発書」になってしまうのですが、それだけではこの本の魅力を表現しきれません。
ブレイン・プログラミングというタイトルから脳科学の本だと思われるかもしれませんが、そうではありません。考え方や脳の騙し方?、著者の実体験を元にした自己啓発書、ビジネス書というべき内容です。
現代版の「思考は現実化する」といってもいいかもしれません。
一番興味深いのは著者の体験談ですね。かなり強烈な内容で、二人が決して順風満帆な人生ではなかったことが興味深いです。
RASとカラーバス効果
この本を読んでいるとRASという言葉が何度も出てきます。
「RAS」というのは、ほ乳類の脳幹にある「網様体」という神経の集まりで、体の生命活動を維持する働きだ。
RASに関する記述が学術的に正しいのかどうかは検証する必要はないでしょう。RAS=脳、と大雑把に捉えてもいいとさえ思います。要は人間の脳の働きとはどういうものかをRASという言葉を使って表現しているのです。
例えば、何かを強く意識すると、RASの働きでその情報が手に入りやすくなる、というのはカラーバス効果のことですね。 人間は強く意識したものを認識しやすくなります。普段は忘れていたとしても潜在意識にそのことが刷り込まれ、関連した情報をキャッチしやすくなるのです。
起業を考えている人が起業に関する情報を多く目にするのは、その一例といって良いでしょう。
目次の紹介と目次より興味深い見出し
本書から目次を紹介します。
第1章 RASの秘密を知る
第2章 自分の望みをはっきりさせる
第3章 明確な目標を決める
第4章 期限を決めて計画を立てる
第5章 他人がどう思い、何をしようが、なんと言おうがやりぬく
第6章 自分の人生に責任を取る
第7章 目標を視覚化する
第8章 アファメーションの威力
第9章 新しい習慣を身につける
第10章 数のゲームを楽しむ
第11章 ストレスに打ち勝つ
第12章 恐怖と不安を克服する
第13章 絶対にあきらめない
第14章 どん底から再出発する
第15章 おさらい
実はこの目次よりも、個別ページの見出しの方が興味深かったりするのですが、さすがにそれを全て紹介するわけにもいかないので割愛します。いくつか印象的なものを紹介します。
脳は「現実」と「想像」を区別できない
脳は現実と想像を区別できない、という発想はおもしろいですね。事実なのかどうかは私には分かりませんが。
クモが怖い人は部屋の隅にあるシミがクモにみえ、スピーチをする人はスピーチが成功することを想像してスピーチするとうまくいく、というのはよくいわれることだと思います。
イメージトレーニングが実際の練習と変わらないくらい効果があるのは、すでに学術的に証明されていますね。
「うまくいく人」と「うまくいかない人」の典型的な習慣
見出しだけで凄く気になります。仕事をしていると「あの人はどうしてあんなにうまく仕事が進めることができるのだろう」と不思議に思うくらい気になることがあります。
「うまくいく人」と「うまくいかない人」習慣について個別にまとめてあります。影響されやすい私などは、さっそく「うまくいく人」の習慣をマネしてみることにします。
努力の「20パーセント」だけが結果を生む
努力が必ずしも結果に結びつくとは限りません。「80:20の法則」が適用されると考えれば、結果を生むのは100%の努力のうちの20%ということになります。
そしてほとんどの場合、その20%の努力というのは最後にした努力の場合が大半です。ほとんどの人が最初からあきらめてしまうか、そこにたどり着くまでにあきらめてしまうのです。
文中で紹介される名言の数々
文中で数々の名言が紹介されています。有名人の場合もあれば、著者本人が語っていることもあります。世間にありふれた名言ではなく、ツボをつく名言というか心にささる言葉が数多く紹介されています。
この名言とその解説を拾い読みするだけでも、本の金額以上の価値があります。
この世には2種類の人間がいる。
10年分の経験を持つ人と、1年分の経験を10年間繰り返している人。
10年分の経験を持つ人は、人生で多くのことを達成し、寿命が延び、楽しく行きられる。
毎年毎年、代わり映えなく同じ1年間を過ごしている人と、そうでない人が得る知見にはどれくらい差があるのでしょうね。
一年後に後悔することになるだろう。去年の今日、始めればよかった、と。
今でなければ、いつ始める?
人によって願望は様々です。英語でもプログラミングでもアフィリエイトでもブログでも何でもかまいません。泳げるようになりたいとか、ピアノが弾けるようになりたいとかどんな願望でも良いと思います。
それらを始めるのに最適なのは今しかありません。今、一年前から始めておけばよかったと思うことがあれば、一年後に後悔しないために今始めるしかないのです。
貧乏な家に生まれたとしても、それはあなた自身の落ち度ではない。
だが、貧困のうちに死ぬとすれば、それはあなた自身の落ち度だ。
ビル・ゲイツ
上述した二つは著者の言葉だと思いますが、この言葉はマイクロソフト創業者のビル・ゲイツの言葉ですね。
ちなみには私は清貧という言葉が嫌いです。
「清く貧しく」ではなく、「清く豊かに」の方が遥かに良いと思うのですがいかがでしょうか?
まとめ ー 繰り返し読むべき自己啓発書
私は読んだ本を三通りの分け方をします。
- 売る
- 本棚にしまう
- 手元に置く
この本は繰り返し読むために手元に置きます。
人間の脳は(特に私の脳はw)、覚えたことをすぐに忘れてしまいます。エビングハウスの忘却曲線を持ち出すまでもなく、人間の記憶力が曖昧なことはご存知の方が多いでしょう。
それだけに繰り返し読むことにします。間違いなくそれだけの価値がある本ですね。
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