今回はソーシャルゲームがなぜ早期終了するのか、をお金の面から解説してみます。
最近はソーシャルゲームの課金率が落ちてきたという噂を耳にしました。
知り合いから聞いた話だったので、元のニュースはどこなのだろう?、と気になって調べてみたのですが、どうやらアプリマーケティング研究所のモンストの記事のようです。
確かに早期終了するゲームが多いとユーザーも不安になりますよね。
せっかく課金してもすぐにサービス終了してしまったら無駄になる、と考えるのはごく当たり前の心理だと思います。
なぜソーシャルゲームはサービス終了するのか
さて、なぜソーシャルゲームはサービス終了するのでしょうか。
理由は簡単で、開発費を回収できないと判断されたからです。
成功したソーシャルゲームのケース
以下に一般的なソーシャルゲームの利益の推移について説明します。
言葉で説明するよりも図で説明したほうが分かりやすいと思いますので、簡単な図を作成してみました。
上記は成功した場合のケースです。
ほとんどのソーシャルゲームはフリーミアムモデルで提供されています。広告やアイテム課金で利益を得るビジネスモデルですね。そのため、利益が得られるのはアプリのリリース後になります。
多額の開発費をいつ回収できるのかは、毎月どれくらい利益が得られるのかで決まります。
上記の図の内訳を簡単に説明します。
開発費
3億円に設定しています。アプリの規模に寄ってもちろん上下するので、この設定金額についてはそれほど気にしないでください。
ランニングコスト
毎月かかるランニングコストには、サーバ代、広告費、運営に携わるスタッフの費用などがあります。ざっくりと1,000万円に設定しています。
売り上げ
アプリからの売り上げですね。月額5,000万円に設定しています。ランキングの上位に入るアプリだと軽く億は超えてくるのですが、今回はひとまず5,000万円で設定しました。
売り上げはイベントやコラボに寄っても上下しますし、アプリのサイクルによっても変化します。今回は分かりやすいように一律5,000万円としています。
成功したケースだとウハウハですね。
開発費が3億円で、月の売上が5,000万、ランニングコスト1,000万であれば、図のように8ヶ月で利益が回収できます。その後が利益になってくる訳ですね。
ランキング入りするような大きく売り上げが伸びるゲームだと、運営チームを二チームに分けたり、マーケティングスタッフを強化したりと、それなりに運営コストは膨らんで行きます。でも利益もどんどん伸びていくので、運営コストを大きく上回るケースがほとんどです。
メーカーにとっては笑いが止まらない状態ですね。
早期終了するソーシャルゲームのケース
さて、ソーシャルゲームがサービス終了するのは、開発費の回収の目処が立たない、と判断されたケースです。
設定は開発費3億円、ランニングコスト2,000万円、売り上げが500万円とします。
実際には開発費3億円かけたゲームの売り上げが500万円ということはありえないレベルなのですが、今回は分かりやすい例として、この数字に設定しました。
図を見ていただければ分かるように、開発費を回収するどころか、マイナス面がどんどん膨らんでいきます。グラフだと3年先まで掲載していますが、実際のソーシャルゲームだとリクープできない(開発費を回収できない)と判断されて、数ヶ月でサービス終了になるケースですね。
この図は極端なケースですが、リリースしているメーカーにとっては、こういう状態を、開発費を回収できないと判断して早期終了が決まってしまうのです。
まとめ – ソーシャルゲームの利益は運営で決まる
ソーシャルゲームはコンシューマーゲームと違い、運営で利益を得る必要があります。
コンシューマーゲームは販売された時点で(正確には問屋に出荷した時点で)メーカーに利益が入ってきますが、ソーシャルゲームはリリースして運営に入らないと収入はありません。
そして、運営の売上で開発費を回収できない、と判断されたときにソーシャルゲームの終了が決まります。ゲームメーカーも営利企業なので、開発費の回収ができなければ、ソーシャルゲームを終了せざるを得ないのです。そうしないと、どんどん赤字が膨らんでいくので・・・
ほとんどのゲーム開発者は、当たり前のことですが、自分が製作に参加したゲームが早期終了したときは悲しく感じています。
開発者も、ユーザーに長く遊んで欲しい、と願いつつ、深夜残業や休日出勤を繰り返してゲームを作っているのです。それでも早期終了してしまうソーシャルゲームがあるのが現実です。
最後に注意書きとして。
今回のグラフを用いたシミュレーションは、私の経験を基に作成したものであり、現在リリースされているどのゲームとも関係ないことを注記しておきます。
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