暑い日が続いています。海やプールに出かける人も増えてくると思いますが、この時期に同じように増えるのが水難事故のニュースです。
学生時代、私は水泳部に所属していました。そのときに顧問の先生が、水泳部員向けに水難救助の講習会を開いてくれました。講師は顧問の先生の知り合いで、水難救助の資格を持つ方が担当されました。私はてっきり、
水泳部員のような、泳げる人向けに水難救助の方法を教えてくれるのだろう
と思っていたのですが、実際はそうではありませんでした。顧問の先生の目的は、泳いで救助してはいけない、ということを部員に教えるためだったのです。
- 水泳に自信があっても泳いで救助しようとしてはいけない
- 泳げる人でもしがみつかれると全く泳げない
- まずは周りに大声で知らせる
- 救助の要請をする
- 水難者に浮かぶものを掴ませる
- 水難者に棒やロープを掴ませる
- まとめ ー 自分が飛び込まずに救助する方法を考える
水泳に自信があっても泳いで救助しようとしてはいけない
ドラマでよくあるのが、溺れている人を見かけて上半身の服を脱いで飛び込み、泳いで救助する、というシーンです。溺れている人を見かけたときに、水泳に自信がある人ほど、それをマネしてしまうのかもしれません。
冒頭に書いた水泳部の顧問の先生は、それを恐れて水難救助の講習会を開いてくれたのでした。
どんなに水泳に自信があっても、自分が泳いで救助しようとしてはいけません。その理由は溺れている人は必ず何かにしがみつこうとします。どんなに水泳に自信があっても、溺れている人にしがみつかれると、まともに泳ぐことはできません。
助けにいった人が溺れている人にしがみつかれることで、二重遭難になる可能性があるのです。
泳げる人でもしがみつかれると全く泳げない
講習会では実際に、人にしがみつかれたまま泳げるかどうかの実演もありました。
結論を先に書くと、水泳に自信がある人でも人にしがみつかれるとまったく泳げませんでした。
ちなみに私は小学生の頃から水泳をしていたので、意識のある限り泳ぐことができます。現役時代は平気で毎日数kmは泳いでましたし、50mを息継ぎせずに泳いだり、立ち泳ぎや横泳ぎももちろんできます。手や足だけでも泳げますし、足がつっても泳ぐことができます。
それでも人にしがみつかれると泳げません。それが溺れている人が必死で掴むのですから、どうなるかは明白です。水難救助の心得がある人であれば別ですが、そうでない場合は絶対に飛び込んで救助しようと考えないほうが良いでしょう。
まずは周りに大声で知らせる
では、もし溺れる人を見かけた場合はどうすればいいのでしょうか。
まずは周りに大声で知らせることです。単独で救助しようとせず、周りに救援を求めましょう。
夏の避暑地であれば、周りに人が居ることも多いでしょう。とにかく周りに知らせることが第一です。
水難救助は助けたあとも溺れた人の救護など、様々な活動が必要になります。単独で救助しようとせず、まずは周りに救援を求めましょう。
救助の要請をする
次に公的機関に救助の要請を行いましょう。電話番号は下記の2つです。
- 118 海での救難事故
- 119 それ以外の救難事故
あまり知られていませんが、海での救難事故は118番です。携帯電話からでももちろんかけることができます。
自分で電話してもいいですし、救援を求めた周りの人に頼んでもいいでしょう。どちらにせよ必ず、118番か119番に連絡を入れましょう。
水難者に浮かぶものを掴ませる
水難者を救助するために、浮かぶものを掴ませましょう。
- ビーチマット
- ビーチボール
- 浮き輪
- ライフジャケット
避暑地であれば、上記のようなものが周りにある可能性も高いでしょう。水難者に浮力を与えることが大事なので、浮かぶものを水難者の近くに投げ入れましょう。
身の回りにあるものでも、浮くものは意外にたくさんあります。
- ペットボトル
- クーラーボックス
- ビニール袋(縁を結ぶ)
- かばん
などは確実に水に浮きます。
水難者に棒やロープを掴ませる
もし水難者が比較的近いところで溺れている場合でも、絶対に自分は飛び込まず、棒か何かを利用して救助しましょう。
避暑地には救助用の紐付きの浮き輪が設置してあるケースがあるので、まずは協力してそれを探しましょう。
それがなくても、
- 木の枝
- ロープ
- オール
- 魚をすくう網
などを水難者に掴ませるようにしましょう。
まとめ ー 自分が飛び込まずに救助する方法を考える
水難事故に出会ったときは、自分が飛び込まずに救助する方法を選択しましょう。水泳部員に泳いで救助しようとしてはいけない、と教えるくらい水難救助は難しいのです。
冒頭に書いた講師の方は、最後に救難者の救助の仕方を実演してくれたのですが、それは水難者にいかにしがみつかれずに救助するか、というものでした。
実際には水難者を足で蹴って、反対をむかせて、顎を後から掴むというものでした(プロレスでいうスリーパーホールドに近い格好です)。
そういう専門知識を持っている人であればともかく、そうでない場合は、泳げる人であっても飛び込まずに救助しましょう、というお話でした。
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